読書はおいしい料理。



そこでハタと思い当たったのです。グレープフルーツを食べてビタミンCを摂るのと、サプリメントでビタミンCを摂ることの差が、「読書」と「インターネット情報」の差に相当するにちがいない、と。
 栄養はすべてサプリメントから摂れることはわかっています。しかし私たちはやっぱり食べ物を食べます。それはなぜかといえば、「おいしいから」というのがいちばんの理由でしょう。栄養を摂るだけならサプリメントも要らないくらいで、点滴でも十分です。それにもかかわらずおいしいものを食べたいと思う。それと同じように、情報だけならインターネットで十分なのに本を読むというのは、読書にはインターネットから得る情報とは別の要素があるからでしょう。インターネットよりもっと豊かな「何か」が読書という体験には隠されているにちがいありません。
  ・
  ・
  ・
 いったい子供を育てるとき、栄養だけを考えてサプリメントや点滴だけで済ませる親がいるでしょうか。そんな親はいません。子供を育てるには、まず母乳にはじまって離乳食、次いでふつうの食事、それからリンゴをかじらせたり魚の骨をしゃぶらせたり・・・・と、いろいろなものを食べさせます。そのとき子供はアゴを動かし、嗅覚をはたらかせる。また味覚を養い、テーブルの上に並べられたご馳走を見て視覚も楽しませる。五感すべてをはたらかせて食べるようになります。それによって子供は成長するのです。もし子供がサプリメントと点滴だけで育てられたなら、口やアゴも丈夫にならないだろうし、味覚、視覚、嗅覚その他の感覚もほかの人のようには発達しないでしょう。
 その意味でいえば、本というのは「精神の食べ物」である。
 インターネット情報はサプリメントにすぎない。
 そこに思い至ったとき私は安心立命の境地に達しました。これで、これからも安心して本を買いつづけ、楽しんで本を読めると思いました。急いで情報を取らなければならないときはインターネットに頼るとしても、そうでないときは書斎の椅子にゆったり坐って書物の世界に没頭しよう、と。

渡部昇一さん著『楽しい読書生活』(ビジネス社)14-16P




本も、情報を得ることが目的の読み方があります。
でも読書家はたいてい「おいしさ」を求め味わいながら読んでいます。

本好きになるには、この「おいしさ」を理解しなければならないのです。

つまり、本を読む楽しさを知らないというのは、本に対する味覚ができていない状態といえます。
この味覚は、大人になってからでも充分に発達させられるものです。

化学的、無機的なものではなく、有機的なものを楽しんでいけるかどうか。
この感覚を得ると、逆に本を読まない(読めない)生活のほうがつらく感じるようになります。

スポンサードリンク

この記事のタグ

サイト内関連記事

旅行をするように本を読もう
実は、本の読み方に正解はありません。 それは、旅行の仕方に正解がないのと似ていま......
大人の読書方法
大学受験のとき、国語を勉強して学んだことは「客観的な読み方をすること」でした。 ......
本好きの人は、目的のない読書ができる。
 本の読み方には、  1.目的のある読書  2.目的のない読書  の2通りがあり......
速読の守破離(しゅはり)
速読にも守破離があります。 やり方を教えてもらいマスターした後に、自分なりのスタ......
読書を通じて、人生の素晴らしさに気付いていこう
以前このブログで、どんどん恣意的に読んでいくのが大人の読書法だと書きました。 書......
読書好きになるコツ・秘訣
「数字(数値)自体に意味はない」という考え方もあります。 読書で言えば、いくらた......
心で読む読書
本の読み方には ・頭で読む ・心で読む の2通りがあります。 頭で読む読書は、知......
本と世の中との媒介になる。
「本を読んで何かの役に立たせたい」と思う場合、 自分の人生の役に立たせることを考......

▲このページのトップへ

HOME

携帯版のQRコード

速読・多読ノウハウ【たくさんの本を読むコツ】:携帯版

携帯サイトは3キャリア対応です。

当サイトは携帯でもご覧頂けます。
携帯版サイトURL:
http://www.tadokuka.com/blog/m/
上のQRコードから読み取るか、URLをケータイに送信してアクセスしてください。